お知らせ
2024年11月07日
思いを叶える支援
みなさん、こんにちは。
施設ケアマネの白石です。
少し前の話になりますが、
ある入所者の方を生まれ故郷の奈良県までお連れしてきました。
施設へ入所されて約2年半。
入所当初から「実家へ行きたいよ」
と度々に口にされていました。
その実家は車で2時間ほどの場所にあり、
長時間の車内、車酔い、トイレのこと、様々な要素から実現は困難だろう、というのが私を含めた職員の当初の思いでした。
ご本人も
「実家にはもう何もないから生活ができない」
と理解されながらも、とにかく生まれ育った故郷の景色を見たい、という強い思いを度々仰います。
一方で息子様の思いとしては
「体が弱った状態で更に外出をして負担をかけたくない」というものでした。
後々のことを考えて親の体調を心配することは当然です。
慎重に検討を続けるうちに月日が経ち、体調を崩されることもあり、やがて車いす生活となりました。
それでもご本人の強い気持ちは決して変わることなく、
そんな強い思いに何とか応えたい、と職員の思いも変化します。
本人、職員の思いをご家族に伝え、
「そこまで強い気持ちであるなら是非」
と息子様も外出の了承をして下さいました。
現地までのスケジュールを立てていく中で、
「私も現地で待つように段取します」
と息子様が申し出てくださり、
更にもう一人の息子様も同行して下さるということで、
二人の息子様が立ち会って下さることになりました。
当日、天気にも恵まれ、2時間の道中は全くトラブルもなく、ご実家へ無事に到着。
すると間もなく、近所の方も顔を覗かせて下さいました。
息子様が伝えて下さっていたようです。
顔を合わせるなり涙を流して喜ばれる姿に我々も涙を誘われました。
生まれ育った故郷を懐かしみ、
ご家族や職員と食事をしながら、故郷で生活していた当時の様子を振り返り、話に華を添えます。
家の前にある丘の上の桜の木を眺め、
丘のふもとにあるお墓へ参り、
「帰ってきたよ」と夫に手を合わせ、
ご本人はとても晴れやかな表情を見せて下さいました。
帰り際、ご本人、ご家族やご近所の方々からも深い感謝の言葉を頂戴し、
これぞ職員冥利に尽きるものだと心の底から感じることができました。
今回、ご協力下さった方々には本当に深く感謝いたします。
前向きな(プラス+)思いを口にすると
「叶う」
を目の当たりにした今回のケースでした。
その後、ご本人も体調を崩すこともなく今も元気でいらっしゃり、
あの丘の上の、満開になった桜を見たいと意気揚々なご様子です。