お知らせ
2020年08月31日
在宅復帰支援
こんにちは!施設ケアマネの白石です。
われわれ介護老人保健施設は、
在宅復帰支援という役割で、自宅へ帰ることを目的としたリハビリや医学的管理を行う施設である、
と法律で位置づけられています。
そこで本日は、在宅復帰された入所者Aさんの退所までのお話。
80代の女性で、主介護者は遠方に住まわれているため、お一人暮らし。
ここ数年、当施設のデイケアを週3日ご利用されていました。
ところが、住まいの団地の建て替えに伴う引っ越しの片付けの最中に腰椎骨折。
入院から退院を経て、自宅へ帰るためのリハビリ目的のため、そのままこちらへ入所されました。
退院時にはコルセットを着用されていましたが、生活の動作全般においては比較的自立されており、以前のような一人暮らしにも支障はないだろうと思われていました。
しかし、課題が1つありました。
認知症によるものと思われる物忘れ等の進行です。
特に、服薬管理が大きな課題でした。
入所中は飲み忘れのないよう職員がサポートしますが、自宅では自身で行わないといけません。
実際、声が掛かって飲み忘れに気付いたり、逆に飲んだことを忘れて、「まだ飲んでいない」と詰所まで来られたり。
そこで服薬マニュアルの方法とは別に、
自発的な服薬を促すためのメモ書きや、日付の分かる置き時計や自宅で使用するために購入した服薬カレンダーを使用し、自宅で想定される方法での服薬を実施しました。
また入院中に始めた日記をこちらでも取り入れ、薬を飲んだことを書いて頂くようサポートを行なってきました。
それでもメモ書きをどこかへ片付けてしまったりと、当然ですが思うようにはいきません。
この他、退所後の生活のイメージを考えます。
デイケアを利用したいというご本人の意向に沿い、
月曜〜土曜の週6日のデイケア利用が可能か居宅ケアマネやデイケアへの相談、
また、より飲み忘れを防ぐことが出来るように、朝夕に服用していた薬を昼にまとめる等の調整が可能か医師への相談、
まずはこの2つを行いました。
これら2つがクリアすることで週6日の服薬は安全に行えることになりました。
残る日曜日の自宅での服薬については、
昼と夕方に利用予定の配食サービスの方に服薬の促しと確認をお願いし、主介護者の方にも電話での促しを依頼しました。
他にも、
隣町に住む別の親族には日々の通院同行を依頼。
作業療法士の指導のもと、使い慣れないIHのクッキングヒーターの練習、そうした方法が自宅でもスムーズに行えるよう、自宅の環境の確認や提案、
また引っ越し直後の入院で慣れない新居でもあったため、新しい環境に馴染めるよう、退所前に数回の訪問を行ないました。
何より、早く帰りたいというご本人の強い気持ちは退所への大きな原動力になります。
「脱走したいわ(笑)」と冗談のように仰っていましたが、日頃のリハビリや認知機能のトレーニングに一生懸命に取り組まれ、完璧とかは行かないまでも、服薬の習慣も少しずつ定着してきました。
そうして3ヶ月後にAさんはご自宅へ帰ることが出来ました。
現在も毎日デイケアに通われ、
リハビリに、馴染みのご利用者様との交流に、と日々楽しみながら過ごされています。
施設の支援だけでなく、
毎日のデイケアや専門スタッフのサポート、更には近所の方々との交流、家族様の協力、様々な関わりがあってAさんの在宅生活が保たれます。
退所された後も、在宅生活のサポートという立場でこれからもしっかり関わってまいります。
ちなみにこの写真は先日のデイご利用時の様子です(^^)
長文お読みいただき、ありがとうございました。
※Aさんご本人、ご家族様の許可を得て掲載しています。